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2016年5月16日 (月)

松田道雄『女と自由と愛』岩波新書

男も女も家の外で働くことを人間としての資格のように思わせるのは、社会主義のかんがえ方の普及です。社会主義は心情的に有閑階級に反撥して生まれましたから、「働かざるもの食うべからず」を信条にしています。

マルクス派が人間生産の場としての家庭をあまり重大にかんがえていないことからくるのでしょう。

社会主義を信じる人は外で働いている女の人を専業主婦よりも進歩的な自立した人間であるとし、専業主婦を生産に役立たない「働かざるもの」とみたくなるようです。

理論というのは一種の作文です。論理の正しさが結論をみちびくというより、はじめからきまった結論にむかって、どう論理をくみたてるかが理論です。

人間は生まれながらとうとい、と自然法はいいますが、その自然法もまた人のきめたものです。

最終的には力によってきめることが、権力にとっていちばんいいのだというのは、マキャヴェッリの思想です。

男たちがもちつづけている上昇志向と所有欲とが、人間のすべてにそなわっているという前提から、マキャヴェッリの思想は出発しています。

加藤弘之

少数の強者の気まま(自然)を多数の弱者の申し合わせ(人為)でふせぐのが民主主義です。

山川均

現在の社会主義理論のどれもが、差別についてかんがえていないことは、レーニンがユダヤ人の政治団体ブンドをみとめなかった時代からつづいています。

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