渡辺洋三『法というものの考え方』岩波新書
選挙運動は、前の選挙が終ったときから始まっている、というのもすでに常識である。
法の支配は、権力者の意思のうえに法をおく。
権利はつねに行使するこによってのみ守られるものである
「権利の社会化」すなわち「公益優先」の思想は、かつて容易にファシズムや全体主義へとみちをひらくものであった。
法とは、結局のところ、解釈という操作をつうじて「これが法だ」といわれたところのものである。
立法の段階では、法規のことばの意味の確定が必要であるといっても、その確定は一般的確定にとどまるのであって、個別的確定ではない。立法により一般的に確定された意味を、個々の具体的事実に即して個別的に確定してゆく作業が、法の解釈・適用といわれる。
裁判所は、この意味で、解釈決定機関なのである。
法とは、とりもなおさず、裁判所がこれが法だとしたところのものである、という規定には、重要な真実がある、といわねばならない。
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