塩川伸明『民族とネイション―ナショナリズムという難問』岩波新書
「愛国心(愛国主義)」の語にはプラス・イメージ、「ナショナリズム」の語にはマイナス・イメージがまとわりついていることが多い。
相手方のナショナリズムは「政府やマスメディアによって人為的にあおられたものだ」と見えるが、自分の方のナショナリズムは「自然」に見えるということがよくある。
ユダヤ人は民族か否かということがしばしば問題とされる。この問いへの答えは「民族」の定義いかんによるし、当事者がどのような意識をいだいているかにもよるから、そもそもただ一つの「正解」があるわけではない。
そのようにして追いつめられた社会的弱者が、自己の苦境の原因を「よそ者」や隣国の行動に求め、、幻想的な「国民的一体性」に救いを求める傾向が強まっている。
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