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2017年9月28日 (木)

吉川洋『人口と日本経済 長寿、イノベーション、経済成長』中公新書

経済学という学問が確立された18世紀のヨーロッパは、人口爆発の時代でもあった。

先進国の経済成長を決めるのは、人口ではなくイノベーション・・・

人口にしても寿命にしても、それに大きな影響を与えるのは「1人当たり」の所得である。1人当たりの所得を上昇させるのは、「イノベーション」だ。

奈良時代の中央政府は、リアルタイムで日本の全人口を把握していた。

内藤湖南は、中国史の時代区分において「近代」は宋に始まるとしたが、・・・

古代ギリシアの哲学者プラトン、アリストテレスの著作に人口制限の必要が説かれている。

明治になってからも、日本政府は、過剰人口問題を解決するための一つの方法として、海外への移民を奨励してきた。

19世紀から20世紀にかけて、アイルランド、イタリア、ドイツなどヨーロッパから「新世界」であるアメリカに、人々が移住したことはよく知られている。船底の3等客室でそうした人々が不安と希望を胸にアメリカに渡っていく姿は、映画『タイタニック』にも描かれていた。

食料の供給は人口の増加に追いつかない。これこそが『人口論』の基本テーゼだ。

マルサスにとって生涯の論敵となったデイビッド・リカードは、まさに「自由貿易」がイギリスにもたらす利益を説いた。

資本主義のエンジンとも言える投資が不足すると、経済は不況に陥る。これが1936年に刊行された『一般理論』の結論である。

リカードとは反対に、マルサスは地主階級を擁護した。

工業には集積のメリットがある。・・・日本の工業化は太平洋側を中心に進められた。

1人当たりの所得水準が上がれば、子どもがたくさん生まれ、人口は増える。これがマルサスの基本命題だった。

新自由主義の立場をとる人は、市場における個人の選択こそが万事大切だと考え、一般に政府の果たすべき役割は小さいと主張する。政府は防衛や司法・警察など最小限のことをやっていればよく、小さければ小さいほどよい。

乳児死亡率の低下は平均寿命の延びに大きく貢献した。

戦前は戦後に比べてはるかに不平等社会だった。

19世紀初頭のヨーロッパにおける新思潮「ロマン主義」は、勃興しつつあった資本主義へのアンチ・テーゼとして基本的に「反経済」だった。

・・・・・『老子』は、言うまでもなく「反成長」、「反経済」である。

儒教は明らかに「プロ経済」なのである。

脳の発達した人間にとって娯楽・遊びが本質的な役割を果たすことは、名著『中世の秋』で知られるオランダの歴史学者ホイジンガが、『ホモ・ルーデンス』で指摘したとおりだ。

経済学を知っている人にイノベーションと言うと、もっぱらそれを経済のサプライ・サイド、供給側の現象だと考えている人が多い。経済の「実力」ともいえる「潜在成長率」という概念も、労働や資本が将来どれだけ伸びるかをもっぱらサプライ・サイドで積み上げていくのがスタンダードな手法だ。

多くの渡来人(帰化人)が進んだ大陸の文物をこの国にもたらしたことは、学校の歴史で習うとおりだ。

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