伊藤祐靖『国のために死ねるか 自衛隊「特殊部隊」創設者の思想と行動』文春新書
軍隊というものは、自己完結型の組織である。
軍隊の中でも、敵陣に入り込み、孤立無援の状態でも自己完結して、作戦行動をとることができる部隊がある。それが特殊部隊である。
レンジャー行動(山間部の徒歩での近接)
この身を捨てるに値する何が日本という祖国にあるというのか
工作母船には必ず、自爆装置が装備されている。
海上警備行動が発令されない限り、警察官職務執行法が適用されない自衛官には、工作母船に乗り込む権限はないのだ。
特殊部隊員に必要なのは、覚悟でも犠牲的精神でもない。任務完遂に己の命より大切なものを感じ、そこに喜びを見いだせる人生観だ。
なぜ、米海軍特殊部隊がそう教えたのかを、君がその場で確認してこい。
国家理念も、戦術思想も、国民性もまるで違う他国の舞台にそのまま使えるものなどあるわけがない。
米軍の特徴は、兵員の業務を分割し、個人の負担を小さくして、それをシステマティックに動かすことで、強大な力を作りだす仕組みにある。それは、個人の能力に頼っていないので、交代要員を幾らでも量産できるシステムでもある。さらに、個人の負担が少ないので持久力がある。これが、米軍が最強でありえる大きな理由だ。
日本という国は、何に関してもトップのレベルに特出したものがない。ところが、どういうわけか、ボトムのレベルが他国に比べると非常に高い。
軍隊には、その国の底辺に近い者が多く集まってくるものなのだ。だから戦争というのは、オリンピックやワールカップのようにその国のエース同士が勝負する戦いではない。
私を含む一部の日本人は、最初は純粋な我慢だが、途中から心の中で「もっとやれ、もっとやれ」と思っている場合もある。
訓練死のない訓練は、戦死のない戦闘と同じで、芝居と同様である(ロンメル)。
訓練死を覚悟した、芝居でない訓練を実施せよ。
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