竹田青嗣『世界という背理 小林秀雄と吉本隆明』講談社学術文庫
フローベールはモーパッサンに「世に一つとして同じ樹はない石はない」と教えた。これは自然の無限、豊富さを尊敬せよということだが、・・・・・
「私は懐疑派ではない」とデカルトは言っている。懐疑派はただ疑うためにのみ論議をはじめるだけだと。
「他人をダシにして」自分自身を語ることを批評の本道とみなした小林の批評の道にとって、・・・
秋成の議論の眼目は、学者としての宣長がはじめから「皇国を万国の上に置」いて「日本魂」を強調することの偏りに、反省を促すところにあった。
小林は・・・・・「源氏物語」から「物のあはれを知る心」を読みとった宣長の視線をとおして、・・・
「物のあはれ」という中心テーマには芸術上の美の本質を照らすものが含まれており、しかも紫式部はそのことを極めて明瞭に自覚していた〝思想家〟でもあった。
小林はむしろ、美の根拠は人間の生活の中での情(こころ)の動き以外にはどこにもないと、大胆に言い切っている。
宗教の発想の核心は、・・・・・〝信ずるものは救われる〟ということに尽きる。
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