入山章栄『世界の経営学者はいま何を考えているのか』英治出版
アメリカの経営学者はドラッカーを読まない。
ドラッカーの言葉は「名言ではあっても、科学ではない」
HBRはけっして経営学の「学術誌」ではありません。
HBRでは、経営学者が研究してきたその蓄積を、現実に応用しやすいようにわかりやすく組み直した「意思決定・企業分析のためのツール」が紹介されている。
主役はあくまで人間なのです。
理論分析から導かれた仮説が、世の多くの企業に一般的にあてはまるのか。
欧米のトップクラスのビジネススクールにいる教授のあいだでは、「理論→統計分析」という演繹的なアプローチで研究を進めることが主流になっているのです。
世界の経営学では、なるべく普遍的に多くの企業に応用できるような一般法則を探求することが科学的な態度である、と考えられているのです。
マクロ分野の経営学の主要な三つのディシプリン
- 経済学ディシプリン
- 認知心理学ディシプリン
- 社会学ディシプリン
企業とは何か、ついての四つの視点
- 効率性
- パワー(力)
- 経営資源
- 従業員の「アイデンティティ」
ポーターの競争戦略とは「競争しない戦略」のことである。なるべく競争の少ない産業を選び、ライバルよりもユニークなポジションをとれば、他者とガチンコで競争しないですむから、結果として安定した収益を得られる、すなわち持続的な競争優位が得られる、というのがその主張なのです。
戦略と業績のデータを見せられて、その戦略に経営効果があるという主張を聞かされたときには、内生性やモデレーティング効果を考慮しないことによる「見せかけの効果」を念頭においていたほうがよいということです。
2011年初頭に起きたアラブの民主化運動、いわゆる「アラブの春」では、不安定な政情下での一般市民の情報収集にフェイスブックが大いに役立ったと聞いています。
本当にビジネスに必要な深い知識やインフォーマルな情報は、インターネットソースではなく、人と人の直接のコミュニケーションでしか伝わらない部分も多いはずです。
現代の経営学は経済学、社会学、認知心理学の三分野の理論基礎を応用することで成立しています。
« カレン・フェラン『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』大和書房 | トップページ | リチャード・テンプラー『できる人の仕事のしかた』Discover »
「経営戦略」カテゴリの記事
- 栢野克己『小さな会社の稼ぐ技術 竹田式ランチェスター経営「弱者の戦略」の徹底活用法』日経BP社(2023.01.22)
- 三品和広『経営戦略の実践2 企業成長の仕込み方』東洋経済新報社(2022.07.02)
- 嶋口充輝・内田和成・黒岩健一郎『1からの戦略論』中央経済社(2021.12.15)
- 牟田學『社長業全集 社長の売上戦略』日本経営合理化協会出版局(2020.03.22)
- マックス・マキューン『「戦略」大全』大和書房(2019.11.27)
« カレン・フェラン『申し訳ない、御社をつぶしたのは私です。コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする』大和書房 | トップページ | リチャード・テンプラー『できる人の仕事のしかた』Discover »
コメント