鹿島茂『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』講談社現代新書
へたをすれば命さえ危ないと承知していてもなお、男が恋にのめりこんでいかざるをえないような、そんな魔性の魅力をもった女のことをファム・ファタルと呼ぶわけです。
破滅するだけの「価値」のある男であることが必要になります。・・・・・賭けるに値するだけの「賭け金」を有している男でなければなりません。・・・・・ファム・ファタルは、男が「賭け金」のすべてを失ってもいいと覚悟するほどの魅力がなければなりません。
二人が運命の仕組んだ悪戯としか思えないような偶然によって出会うという要素も不可欠です。
ファム・ファタルというのは、やはり、女性に対するギャラントリーが恋愛の前提となっているヨーロッパ型の社会でなければ存在しえないものなのです。
金の本質がわからずにただ楽しく暮らしたいと願う女ははなはだ危険だということです。
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