鹿島茂『悪女入門 ファム・ファタル恋愛論』講談社現代新書
へたをすれば命さえ危ないと承知していてもなお、男が恋にのめりこんでいかざるをえないような、そんな魔性の魅力をもった女のことをファム・ファタルと呼ぶわけです。
破滅するだけの「価値」のある男であることが必要になります。・・・・・賭けるに値するだけの「賭け金」を有している男でなければなりません。・・・・・ファム・ファタルは、男が「賭け金」のすべてを失ってもいいと覚悟するほどの魅力がなければなりません。
二人が運命の仕組んだ悪戯としか思えないような偶然によって出会うという要素も不可欠です。
ファム・ファタルというのは、やはり、女性に対するギャラントリーが恋愛の前提となっているヨーロッパ型の社会でなければ存在しえないものなのです。
金の本質がわからずにただ楽しく暮らしたいと願う女ははなはだ危険だということです。
« 苅部直『丸山眞男ーリベラリストの肖像』岩波新書 | トップページ | メアリー・エレン・オトゥール他『FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方』Gakken »
「読書論」カテゴリの記事
- 亀井卓也『5Gビジネス』日経文庫(2022.06.21)
- 帝国データバンク情報部『コロナ倒産の真相』日経プレミアムシリーズ(2022.06.21)
- 川合章子『あらすじでわかる中国古典「超」入門』講談社+α新書(2022.06.09)
- 伊藤亜紗編『「利他」とは何か』集英社新書(2022.05.16)
- 神里達博『リスクの正体ー不安の時代を生き抜くために』岩波新書(2021.11.30)
« 苅部直『丸山眞男ーリベラリストの肖像』岩波新書 | トップページ | メアリー・エレン・オトゥール他『FBI元心理分析官が教える 危険な人物の見分け方』Gakken »
コメント