上野千鶴子他『ドイツの見えない壁』岩波新書
トロツキーにならって、「裏切られた革命」とよびたくなるくらいである。
激動のなかに投げ込まれたのは、東の人々だった。
「ベルリンはドイツではない」といわれるほど、ドイツでは大都市と地方の差が大きい。
西ドイツ連邦議会の政治のなされ方は、とてもシニカルだと思います。政党政治そのものですよ。政党だけを中心に動いていて、国民のことなんか考えていない。
ドイツでは東西を問わず、地方自治の伝統が根強い。連邦主義とは、各州の自治を尊重しながら、ゆるやかな連帯を結ぶ考え方である。
統一後、東の女性たちが経験しているもっとも深刻な危機は失業だと、ほとんどの人は口をそろえる。
東の女性は三重に差別されています。第一に労働市場における〝二流市民〟として、第二に女として、第三に東の市民として。
女性が愛の名のもとに想像しているものが、主に感情的な面での要求であるのに対し、男性はどちらかというと性関係と実際的な生活の面での要求を考えている。
統一後、社会問題はあきらかに増えました。自由?お金のある人にとってはね。
89年11月の突然の「壁」の崩壊は、これ以上放置すると政権転覆にいたりかねない内圧の高まりを、外に放出するためのホーネッカー政権の苦肉の選択だった。
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