井上久男『日産 VS. ゴーン 支配と暗闇の20年』文春新書
経営数字のマジックの陰で、ゴーンはイエスマンを寵愛し、意見をする部下を切り捨てていった。
ルノーは日産からの配当や最新技術の提供がなければやっていけないほど、経営体力も商品開発力も低下している。
ルノー・日産BVは日産の連結決算対象の子会社ではないため、・・・・・
20世紀はクルマを自国で、かつ自前の力で造ることができて初めて一流国と言われた時代であった。なぜなら、鉄鋼、化学、機械、電機といったあらゆる分野の技術を融合させなければクルマはできないからだ。
鮎川は、自分が産み落とした会社の社名に人の名を付けることもせず、日産自動車に子息を入れなかった。だから日産には創業家出身者が在籍せず、サラリーマンが歴代トップを務める会社となった。
日産でたびたび派閥抗争が起こったのは、創業家以外でもトップの社長になれるからであった。
ゴーンのこれまでのキャリアを振り返ると、タイヤメーカーのミシュラン、そしてルノーにおいて、非常時の「再建屋」としての経験こそ豊富だが、日産のようなグローバルな巨大企業を安定成長に導いた経験はない。
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