猪木武徳『経済社会の学び方 健全な懐疑の目を養う』中公新書
そしてほとんどの重要な問題には、その前提となる社会の「文法」を先人の知識から学び、分析に必要な技術や技能を少しずつ積み重ねていくことが要求される。
制度やルールについては、理念を述べた文書が少なくない。法律にもその理念や目的が冒頭に掲げられている。しかしその法律が実際にその理念や目的の文言通りに運用されているという保証はない。社会研究にとって重要なのは、「実際にいかに運用されていたのか」という点であって、書かれた理念や目的を、実証的な分析にそのまま使うことはできない。
つまり、自分にとって最善と思う選択ができない状況でとられた行動の生み出したGDPという集計量に、どれほどの経済福祉的な意味があるのかという問いを避けては通れないのだ。
時間がかかるように見えるが回り道をし、「積み上げて」いかないと、よい結果を手にすることはできないという点で、あらゆる学問の根本は同じなのだ。
しかし「資本」という基本用語の用い方が、研究者によって異なる点は注意を要する。
中国が自由貿易を主張し、米国が保護主義に出る。それはこれまでの覇権国の相対的地位の後退が、その国の国際経済秩序から離反させる可能性をしめしているといえよう。
ウェーバーも、『社会主義』論の中で、『共産党宣言』が予言的文書であることを指摘している。
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