山口揚平『企業分析力養成講座』日本実業出版社
企業の価値とは、そこに関わる人々の多種多様な価値観の精妙なバランスの上に構築された高度な組織体系であり、組織の内部に長年にわたり蓄積されたオペレーションのノウハウや文化であり、そして卓越したマネジメント陣によって構築された事業戦略の精度の高さと、その結果として行なわれる短期効率的かつ長期効果的な資源配分の集大成なのである。それらは数字に表れてこない。
より重要なのは、「なぜ利益率が高いのか? それは今後も継続するのか否か?」を自らの頭で考えることであり、その原因を突き止めることである。
一人勝ちしているように見える企業にも、実は業界特有の弱点がある。
PLは、売上という成果を、誰に対して先に分配するのか?という順序を表しているのである。
運転資本とは、ひと言でいえば「つなぎ資金」のことである。
少ない資産でたくさん利益を出している企業が、結果としてたくさんのキャッシュを稼ぐことになるのだ。
10倍株は「テンバガー」と呼ばれる。
M&Aの現場でまずやることは、ビジネスシステムを描くことである。
投資とは、その会社のキャッシュフローに賭けることに他ならない。
企業の価値を創るのは、まぎれもなくキャッシュ(現金)である。
鉄道のほうが飛行機よりも先行投資型のビジネスであり、一度、大きく投資をしてしまえば、その後のキャッシュは必要なくなるのである。
企業分析の際に一番重視するべき項目は、CF、次いでBS、最後にPLの順である。
銀行とは、要するに「信用」を仲介する卸売業なのである。
一般に、利上げが行なわれる局面では、銀行の収益は減少し、利下げ局面においては増加する。これは、金利が上がると資金需要(銀行にとっては売上)が減るためだ。逆に、金利が下がると資金需要が増加し、銀行としての収益は上がるという仕組みになっている。
結局、経営者の考える事業の「器」の大きさまでしか事業は育たない。
3年間の平均フリーキャッシュフローがプラスで、社歴が10年以上たっているものを選ぶとよい。
「事業戦略(ロマン)」と「資本政策(ソロバン)」という「車の両輪」をバランスよく組み合わせ、継続的に成長し続ける企業にこそ、敬意をもって長期投資の対象とするべき時代に差し掛かっている。
リターンを最大化するのではなく、リスクを最小化する(バフェット)。
物事を正確に捉えるには、常に「分母は何か?」と問い、相対的に考える必要がある。
究極的に良い会社とは、コスト以上に稼げる会社、要するに、ROICマイナスWACCの差が大きな会社ということになる。
CEOの究極の目的は、ROICを上げ、WACCを下げること。
株主資本はタダではない。
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