佐藤和孝『タリバンの眼 戦場で考えた』PHP新書
中東は100年前の日本と同じ。
今回のタリバン政権が1996年と異なるのは、幹部がメディアに顔を出すようになったことだ。
第二次政権のタリバンは前回の反省からか、発信・宣伝の重要性を認識するようになったのである。
近付いて付き合わないと相手の本性が見えないのは、どの国のいかなる集団でも同じ。
タリバンもまた一人の人間であり、理由なく殺害に走ることはありえない。
ただし日本の自民党と比べたら、タリバンのほうがはるかに呉越同舟で分裂している。
アルカイダから派生したのが、ISである。
アフガニスタンではどうしても欲望が先に立ってしまう。
パキスタンとアフガニスタンの国境は、地政学上の要衝である。
インフラと借款債務によって相手国を雁字搦めにする手法は、現在の中国とほぼ同じといってよい。
テロリストになるのも、ほかに職業の選択肢がないからである。
子供のころに読んだアナログの本、プリントされた写真がいつまでも記憶に残るのは、デジタルとは別の力を持つ証拠である。
アラブの世界は復讐によって成り立っている。
人間というのは大惨事が目の前で起こるまで何もしない、ということだ。
話す表情や目つき、しぐさも含めてコミュニケーションである。
イスラム教の教義で一つ、どうしても受け入れ難いものがある。「改宗できないこと」だ。
自由の価値というのは、われわれが考える以上に重い。
自爆テロを思想で自ら進んで行う人間はまずいない。
ジャーナリズムは権力を監視する。
アナログこそ最高のリスク管理なのだ。
「何でそんな危険な所に行くのか」と尋ねられることがある。「仕事」であると答えると同時に、なぜ「そこが危険なのか」を知ったのだろうか、と問いたくなる。それは、ジャーナリストが伝えたからに他ならない。・・・・・地べたを這ってこそ情報の意味と価値がある。
« 小山昇『利益を最大にする最強の経営計画』KADOKAWA | トップページ | 村上芽・渡辺珠子『SDGs入門』日経文庫 »
「読書論」カテゴリの記事
- 物江潤『デマ・陰謀論・カルト スマホ教という宗教』新潮新書(2023.09.06)
- 加地伸行『マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々』飛鳥新社(2023.02.01)
- 久恒啓一編『平成時代の366名言集~歴史に残したい人生が豊かになる一日一言~』日本地域社会研究所(2022.12.02)
- ポール・ジョンソン『インテレクチュアルズ』共同通信社(2022.12.02)
- 猪瀬直樹『言葉の力「作家の視点」で国をつくる』中公新書ラクレ(2022.11.29)
« 小山昇『利益を最大にする最強の経営計画』KADOKAWA | トップページ | 村上芽・渡辺珠子『SDGs入門』日経文庫 »
コメント