大竹文雄『行動経済学の処方箋 働き方から日常生活の悩みまで』中公新書
人々の豊かさは、現在の所得より、資産も含んだ今後の将来所得全体で測るべきだ、という「ライフサイクル仮説」が現代の経済学の常識なのだ。
このようにデフォルトは、かなり強力に私たちの行動を変えてしまう。
『国富論』では、自由競争にすることが重要だとは書かれているが、市場に任せておけば競争が自然に働くとは書かれていない。企業は常に独占や談合をする傾向があるため、市場競争を活発にすることが重要だという主張なのである。いわば、公正取引委員会がしっかり仕事をすることの重要性を訴えたと言える。
最近の研究によれば、CSRに熱心な企業は、従業員の給料を低く抑えたり、生産性の高い労働者を集めたりすることができるという。
つまり、NPOでは非利潤動機だからという理由で、低い賃金で働いてもいいという人が集まってくるのだ。
つまり、現金を使った取引をすると市場規範の範疇になる。社会規範で成り立つ世界に、現金のやり取りを入れると、市場規範になってしまうのだ。助け合いは、社会規範で行われるものなので、ボランティアや現物を贈るべきということになる。
本を読むことで培われる能力の中で、一番重要なものは、反事実的思考力だ。
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