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読書論

2017年5月19日 (金)

養老孟司『死の壁』新潮新書

もともとギムナジウムという言葉は「裸」を意味していたのです。

クラウゼヴィッツが『戦争論』で書いている通り、戦争に外交の手段という側面は間違いなく存在しているのです。

間引きに代表されるように、暗黙の了解のうえで目をつぶることがあったのです。

生きがいとは何かというような問いは、極端に言えば暇の産物なのだ、と。本当に大変なとき、喰うに困っているときには考えないことです。

2017年4月25日 (火)

原田國男『裁判の非情と人情』岩波新書

裁判官は、多くの文芸作品や小説を読むべきである。・・・・・人間観察の力がないと、理屈だけの薄っぺらい裁判官になってしまう。

検察は、警察官の偽証をまず起訴しない。

裁判官の一番欠けたところは、世情と人情に疎いことだろう。

マスコミは、えてして、裁判官を権力側に、裁判員をこれに対抗する市民の代表側にそれぞれ位置付けたがる。しかし、現実には、裁判員も権力側に立つ。

団藤重光先生がアメリカ連邦最高裁判所を訪れた際、九人の裁判官の椅子の大きさと形がそれぞれ違っていることに感銘を受けた・・・・・。

良心に二つはない。

2017年4月24日 (月)

古市憲寿『古市くん、社会学を学び直しなさい!!』光文社新書

「社会学」という言葉は、一九世紀にフランスのオーギュスト・コントが作った。

古典のもとになっている古典を読んで、みんながそれをどう応用したのかを比較することが大切なんです。

プラトンは一種の宗教だと思うし、・・・

いろんな人がプラトンやアリストテレスをもとにして、「こんなふうにも使える、あんなふうにも使える」と応用してきた歴史がある。

社会学を含む社会科学は、メタフィジックス(形而上学)ではなく、エビデンスにもとづく経験科学だということです。

アカデミック・ランゲージは、一定のテンションを維持しないと、書き続けられない。

私は「仮説」とは何かを学生に説明するときは、「あなたの思い込みと偏見のこと」だと言っています。

2017年4月17日 (月)

安斎育郎『人はなぜ騙されるのか』朝日文庫

われわれが人生で出合うすべての問題が科学的あるいは合理的なものの見方・考え方で処理できるわけではない。

奇術とは、常識の虚をつく錯覚美化の芸術である。

霊は人々の観念の世界に住みつき、・・・

相対性理論によれば、物体は光の速さでは移動できないから、・・・

基礎的な概念や事実関係をさえろくに記憶していないようでは、体系的な学習の進歩など到底おぼつかない。

フェスティンガーは、人間は「すでにもっている認知と不協和関係にある認知に出合うと、その不協和を解消する方向に行動する」と考えた。

夢という言葉は、「こうありたい」という期待をこめて使われる場合と、「所詮こうはなるまい」という非現実的なむなしさをこめて使われる場合がある。

「わだつみ」は「海の神」を意味する。

オウム真理教団の狂気は、オウム自身の発明品というよりは、本質的には過去の人類の狂気の体験の縮小再生産のようにも見える。

信仰は消え失せても、習慣の鎖を立つことを人はためらうものだ(マレーネ・ディートリヒ)。

仏教の本来の立場は「霊魂不説」だ。つまり、仏教は「霊を説かない」のだ。

上野千鶴子『時局発言! 読書の現場から』WAVE出版

民主主義はひとつではない。代議制民主主義(代表制民主主義とも間接民主主義とも呼ばれる)は、民主主義の不完全な形式のひとつだ。代表制民主主義とは、エリート(選良)政治であることで衆愚観に立ち、政治参加を4年に1回の投票に制限することで、市民の政治参加を促進するよりは抑制するシステム。

それにしても保守は世代交代に成功したが、対抗勢力は世代交代に失敗した。

「格差」は合理的根拠のある違い、「不平等」は正当化できない差別を言う。政府が「格差」を使っても「不平等」と決して言わないのはそのせいだ。

おひとりさまが生きやすくなった理由のひとつに結婚とセックスとが分離したことがある。それまでは、結婚はセックスのライセンスだった。そしていったん契約したら、契約相手(配偶者と呼ばれる)以外との恋愛やセックスは、契約違反(不倫と呼ばれる)ということになっていた。

作家・・・・・最後の職業。死刑囚でもなれる。(村上龍)

2017年3月25日 (土)

野口悠紀雄『知の進化論 百科全書・グーグル・人工知能』朝日新書

中世までの時代、聖書は、修道院の聖職者によってラテン語で書写されていました。

ラテン語は「聖なる言葉」であり、俗語(自国語)は「卑俗な言葉」であるという考えが支配的でした。

ラテン語とは古代ローマ帝国の言葉であり、聖書とはなんの関係もありません。

もともと旧約聖書はヘブル語で、新約聖書はギリシャ語で書かれていました。

タルコフスキイは、ダ・ヴィンチの未完の大作である「東方三博士の礼拝」を、映画「サクリファイス」の中で、きわめて効果的に用いています。

中世ヨーロッパでは、知識を秘匿することによって価値を高めた。

知識は体系的であるのに対して、情報は断片的。

情報を秩序立てて体系的に組み上げたものが知識である。

『ブリタニカ』は、もともとはスコットランドで生まれた事典です。

アメリカでは、索引のない本は専門書とはみなされません。

2017年3月21日 (火)

森山至貴『LGBTを読みとく-クィア・スタディーズ入門』ちくま新書

「何を知っていれば他者を傷つけないで済むのだろうか」という問いです。

セクシャルマイノリティとは「普通」の性を生きろという圧力によって傷つく人々、と言い換えることができます。

レズビアン(lesbian)という語は、女性に対する愛の詩を多く残したギリシャの詩人サッフォーが住んだレスボス島に由来する言葉ですが、女性同性愛者を指す言葉として登場したのは十九世紀末であり、日本で使われるようになったのは戦後になってからです。

ゲイ(gay)という言葉を同性愛者が自らを表現する言葉として使うようになったのは一九五〇年代のアメリカです。

トランスジェンダーは、このように社会が手を変え品を変え割り当てようとする「性別」とは異なる性別を生きる現象、またはそのように生きる人々を指します。

・・・・・「同性愛は大昔から存在した」と結論づけるのは早計です。

十九世紀後半のドイツとイギリスでは同性間の性行為は犯罪化され処罰の対象になっていきます。

多くのゲイが当時愛していた歌手、ジュディ・ガーランドが・・・

同性愛者としての自認あるいはアイデンティティは、性科学者や医師たちによって当初は否定的なものとして刷り込まれた。

クィア・スタディーズにとっては、フーコーの刷新した権力概念も重要です。

2017年3月 8日 (水)

『総解説 世界の古典名著』自由国民社

ルイス・キャロルの世界では、「あやまちを犯す前に罰せられ、刺される前に泣く」

価値の小さなものを集めて作られるキッチュ

湾岸戦争はアトランタで行われたのだ

国家はブルックハルトも言うように人為による「芸術作品」である。

ルソーは、宗教を人間の宗教と市民の宗教とにわける。

ある国家が停滞するのはその国民が個性をもたなくなる時である。

「差異の存在することそのことが有益である」と考え、一般に承認されているものに「順応しないということ」そのこと自体が社会に対する一つの貢献である。

マルクスは、このリカードゥ理論を自己にとって最高の「古典」とみなし・・・

権利は法的に保護された利益である。

第二次大戦によって「中欧」というものが消えてなくなり、その代表者であったドイツは・・・

カントにとって、「理性」は神の理性ではなく、まさに人間理性であり、・・・

「死」こそは、絶対に他人に代わってもらうことのできぬ、各人の実存に最も深くかかわる、追い越すことのできない可能性である。現存在とは、「死への存在」である。この死という、自分の実存がもはや不可能になる可能性へと「先駆」してこそ、現存在の「本来的な全体存在可能」が可能になってくる。

大衆人とは、いわば、甘やかされた子どもであって、自分の生が生たり得る根拠(歴史)への連帯責任を放棄し、いきなり野蛮の世界へ逆戻りする、西欧文明にとっての垂直的侵略者である。

ポパーは検証によって理論の真偽は決定できず、反証に耐えるか否かこそが真偽の基準となると説いた。

キリスト教徒は肉体的なものを蔑視する点で、プラトン主義者と共通するものをもっている。

哲学者たちが何と言おうと、われわれの最終目標は快楽なのだ。

他人に教えるのは、まず自分で十分に知らなければならないと考えていた。

自分の中身よりも立派な服装をなさらないほうが賢明である。なぜなら、女性は他人のいつわりをやすやすと洞察して、外見と中身のちがう男性諸氏の知恵のたりなさ、野卑な精神を見抜くからだ。

むずかしい事件の処理には、女性に相談すべし。

あることをなさないために不正である場合も少なくない。

結婚は戦場であってバラ園ではない。

なまけることができるというのは、ひろい欲望と強い個性の意識があることを意味する。

行動しているときにのみ、その本質を理解されるのが、男性というものだ。

いちばん好戦的な人間は、仕事も心配ごともいちばん少ない連中なのだ。

知識人のなかには、戦争が始まるといとも簡単に変節して、煽動的な論説を展開する人たちがいる。すると衝動や感情にかられやすい若者たちは、彼らの論説に酔って偏狭な愛国主義者になってしまう。

予見できないような遠い悲劇を想像して自己を不幸にしないこと。

真に男らしい男を仕上げるためには、妻であれ、恋人であれ、女友だちであれ、真の女らしい女を常に彼の傍におく以上に必要なことはない。

私は未来の危険を引受けることによってしか行動しません。

2017年2月22日 (水)

小谷野敦『宗教に関心がなければいけないのか』ちくま新書

そもそも、最近はやっている「反知性主義」というのは、米国で、知識人の専制を批判する思想のことであり、・・・

池内は、・・・「反知性主義」などと言って他人を罵倒する人のものを読まないことが反知性主義に陥らないための第一歩だと述べている。

仏僧は、泥棒に入られても警察に届けてはいけない、という話がある。

『積木くずし』・・・・・相談に乗った警視庁少年課の心理鑑別技師が、門限を過ぎて帰ってこなかったら決して家に入れないでくださいと言い、もしそれで死んだら、それは寿命です、と言ったのだ。

芥川龍之介と太宰治が、キリスト教に影響を受けていることは知られている。

ニーチェは、道徳をキリスト教の産物と考え、これを批判した。ルサンチマンというニーチェの用語は、能力もない者が能力のある者を恨む感情のことで、ニーチェはこれもキリスト教の生み出したものとして批判した。しかし、マックス・シェーラーは、ルサンチマン批判には同意しつつ、それはキリスト教というより、近代の民主主義が生み出したものではないかとした。

2017年1月 9日 (月)

小谷野敦『文章読本X』中央公論新社

削る時に、一番削るべきものは、副詞である。

紫式部のあとに紫式部なく、シェイクスピアのあとにシェイクスピアなしで、あるジャンルで頂点に達した作家がいると、そのジャンルではそのあとしばらく、天才は現れない。

志賀直哉の小説「焚火」は、芥川龍之介が衝撃を受けた作品であり、・・・

ルネッサンス期に、それまではラテン語が公用語だったのを、ダンテがイタリア語で、チョーサーが英語で、ロンサールがフランス語で、・・・

なお、自嘲的に、日本は米国の属国だとか、五十一番目の州だとか言う人がいる。これも敗戦後、連合国軍の占領下で久米正雄が、やや諧謔的に、米国の州になればいい、と書いたのに端を発しているが、・・・

洋の東西を問わず、近代以前においては、文学の一等偉いものは詩であった。アリストテレスの『詩学』も、・・・

けだし、というのは、色々考えた結果、といった意味で接続詞的に使われる。

『卍(まんじ)』は、私の推定では、ドイツのポルノ小説『ある歌姫の回想』がネタ本だが、・・・

丸谷は・・・・・たとえば「天皇は神聖にして侵すべからず」というのを意味不明だとしているが、これは過去のフランス憲法やバイエルン憲法にあったものをまねたものだ。

ぼかすのでは森鷗外が有名である。

「奇跡の人」というのはヘレン・ケラーではなくてサリヴァン先生のことなのだが、・・・

 

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