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経営学総論

2021年12月 7日 (火)

加護野忠男・吉村典久編『1からの経営学【第2版】』中央経済社

このガバナンスとは、経営者がなす企業経営上の決定よりも上位になる概念である。

・・・・・経営学が経済学ほど体系化されていないからである。

「モノ」による捉え方は、時として、顧客が本当に求めているものを見失わせてしまうおそれがある。

「そもそも自社は顧客に対しどのような『価値』を提供しているのか」という視点から事業を捉えることが重要になってくる。

5つの競争要因・・・・・簡単に言えば、「同業者との競争が激しい上に、新参者がどんどん入ってくる。なおかつ自社の提供している製品やサービスの代わりになるものはたくさんある。くわえて、自社よりも顧客や納入業者の方が立場が強い」、こうした傾向が強ければ強いほど、その業界での競争は激しいものとなり、儲かりにくい業界になるということである。

2019年11月24日 (日)

清水勝彦『経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由』日経BP社

科学で耳にする最も胸躍る言葉は、「私は発見した」ではなく、「へんだぞ」なのだそうです。

本当に経営に役立つのは「世代を超えて生きてきた法則=幹(あるいは根)」なのです。

成功企業の経営者が「当たり前のことを当たり前にやっているにすぎない」とほぼ異口同音におっしゃるのを聞いても、・・・・・

Ph.D.というのは「リサーチの学位」といわれるくらいなので、・・・

心理学とかマーケティングというのは、実はほぼ「統計」の学問であることも教わりました。

「確率」という言葉は、サンプル数が多くて初めて成り立つということを忘れてはなりません。

その時リーダーに必要なのは『任せたから勝手にやれ』と放っておくのではなく、『陰ながら見守る』という態度である。

「予想外のことは必ず起きる」と言いながら「予想外を最小にする」ことに努めていた。

専門家であるということは、自分の限界を知っていることだと思います。

「私がこういう作戦を立て、このようにして業績をあげました」ということが、きちんと言えなくてはならないのです。

何も考えずに200回素振りしても、腕が太くなるだけ。

合理性を前提にしたフレームワークや定量分析は、「分かりやすい」ばかりでなく、「教えやすい」のです。答えは結構客観的に出ますから、テストも採点しやすいです。

アイデアだけなら、誰かすでに考えていると思ったほうがいい。

 

 

2019年8月 7日 (水)

フリーク・ヴァーミューレン『ヤバい経営学 世界のビジネスで行われている不都合な真実』東洋経済新報社

真似をした競合他社の戦略がそもそもダメだということもある。

真似の連鎖反応は実に性質が悪い。

誰もがその慣習に「なんとなく」従い、なぜその慣習が存在しているのかを考えることはない。不思議な慣習は、誰も変えようとしないまま生き続けている。そして、そのような「不思議なところ」に新しいビジネスの種が転がっていたりする。

自分たちが間違った方向に向かって進んでいることに気づいても、誰もそれを口に出さなければ、行き詰まるまでみんなでその現状を維持してしまうのだ。

お金で買うことができず、生み出すために多くの時間と労力が必要となり、数字として見えづらいものが、他者との違いを生み出すことが多い。

より良いアイディアとは、どこからともなくやって来るのだ。

買収を考える経営者は、買収対象企業にいる無能な経営者を追い出して、自分が買収して経営したほうが、大きな価値を生み出せると考えている。

うまくいっている企業では、成功しているビジネスに集中するのは一般的な戦略だ。・・・・・一つの事業への集中は成功の原因ではなくて、結果なのだ。

関係があることと、因果関係があることは異なる。

施策はすぐに効果を生むが、その副作用はしばらく後に現れてくる。そのため、経営者は副作用を甘く見てしまったり、全く副作用に気がつかなかったりする。

優れたイノベーションは偶然に発見されることが多い。

「複製」することのポイントは、地域の特性に合わせることではなく、むしろ初めは合わせないことだ。地元の状況に完全に合わせることなんてしなくてよい。注意深くゆっくりと、あとから変えていけばよい。まずは完全にコピーし、なんとか地域でも受け入れられるくらいにはうまくやり、それからゆっくりと変化を加えていく。

2019年5月 9日 (木)

山口周『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』光文社新書

正しく論理的・理性的に情報処理をするということは「他人と同じ正解を出す」ということでもあるわけですから、必然的に「差別化の消失」という問題を招くことになります。

論理や理性で考えてもシロクロのつかない問題については、むしろ「直感」を頼りにした方がいい。

アカウンタビリティとは要するに「言語化できる」ということだ。

イノベーションの後に発生する「パクリ合戦」における、デザインとテクノロジーの陳腐化という問題を見落としていることが多い。一方で、ストーリーや世界観はコピーできません。

「システムを相対化すること」しかありません。自分なりの「美意識」を持ち、その美意識に照らしてシステムを批判的に見ることでしか、私たちは「悪」から遠ざかるすべはないのです。

西暦で言えば5世紀くらいの時期、人物としてはアウグスティヌスやボエティウスを最後に、13世紀にロジャー・ベーコンやトマス・アクィナスといった人物が登場するまでの800年間ほど、これといった哲学者がいない「空白の時期」があるのです。

 

 

2017年7月10日 (月)

高橋伸夫『図解 大学4年間の経営学が10時間でざっと学べる』KADOKAWA

世界初の階層組織はモーセがつくった!?

職務満足が高い生産性をもたらすという人間関係論的仮説は、現在では科学的に否定されています。

オースベル『ユダヤ人民間伝承の宝物』

2017年7月 9日 (日)

中野剛志『真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学』講談社現代新書

一般に「イノベーション」とは、技術シーズを生み出すところから、それを事業化することまでの過程全体を指します。ベンチャー企業は「イノベーション」というよりはむしろ、イノベーションの一部である「事業化」を担っているということです。

アメリカはベンチャー企業の天国ではないのです。

シェーンが言うように、平均的な起業家の姿というものは、人の下で働きたくないとか、職を失ったとか、あるいは未来の可能性に対して楽観的であるといった動機によって、より長時間の労働で、より収入が少なくなったとしても、頑張ろうという人たちです。

日本がアメリカのようなベンチャー大国になれない最大の理由は、・・・・・単に、軍事大国ではないからなのです。

ベンチャー・キャピタルは、「人」の何を見ているのかと言えば、何のことはない、学歴・職歴とコネを見ていたに過ぎなかったというわけです。

シリコンバレーというのは、エリート限定の閉鎖的な共同体だったのです。

野中郁次郎氏らが喝破したように、イノベーションとは人材の能力の成長のことです。そして、小池和男氏が論じたように、イノベーションを生み出す人材の育成には時間がかかるので、長期雇用が必要です。長期雇用の労働者こそが、イノベーションの源泉なのです。

ROE経営は『すでにあるもの』の効率化を図ることはできても、『今はないが、将来つくるもの』の価値を最大化することはできません(原丈人)。

ウィリアム・ラゾニックが声を大にして批判しているように、この自社株買いこそがアメリカ企業の短期主義を助長し、アメリカのイノベーションの力を削いできた元凶の一つなのです。

①アメリカはベンチャー企業の天国ではない。

②アメリカのハイテク・ベンチャー企業を育てたのは、もっぱら政府の強力な軍事産業育成政策である。

③イノベーションは、共同体的な組織や長期的に持続する人間関係から生まれる。

④アメリカは1980年代以降の新自由主義的な改革により金融化やグローバル化が進んだ結果、この40年間、生産性は鈍化し、画期的なイノベーションが起きなくなる「大停滞」に陥っている。

⑤日本は1990年代以降、アメリカを模範とした「コーポレート・ガバナンス改革」を続けた結果、アメリカ経済と同様に、長期の停滞に陥っている。

2016年6月27日 (月)

清水勝彦『経営学者の読み方 あなたの会社が理不尽な理由』日経BP社

突き詰めていけば、ビジネスの原点とは、自分(たち)の夢に対して社員や顧客、あるいは投資家をどう巻き込むかという一点に尽きます。

あのフロイトも自分自身を知ることから始めたのです。

専門家であるということは、自分の限界を知っていることだと思います。つまり、専門家であるということは、自分は何ができるけれど何ができないということ、を非常にはっきり言える人のことです。

グローバル化での「自信」とは「いかなる対人関係においても自然にふるまえる」ことなのです。

従来の教育には『教』はあっても『育』がない

「聞く」ではなく「聴く」という感じを河合氏がわざと使っているのは、おそらく英語でhearとlistenの違いのように、単に耳に入るのではなく、よく理解する必要があるということを示唆されているのだと思います。

アイデンティティがはっきりしている人ほど国際化に対応できる(カルロス・ゴーン)。

多くのCEOは「業績が良かったのは自分のおかげ、悪かったのは環境のせい」にするバイアスがあるという有名な研究もあります。

GEでは部長は目標を達成してもそれだけでは評価されません。・・・・・「私がこういう作戦を立て、このようにして業績をあげました」ということが、きちんと言えなくてはならないのです。

優れた技術力を持ちながら業績が上がらない日本企業の多くは、「選択と集中」という言葉の中で、「強みにこだわる」一方、「強みを活かす」ための努力、例えば補完的な資源や能力の開発を怠ってしまったのではないかと思われてなりません。

Businessweekでは、マッキンゼー出身のGMが多くのアナリストたちとともにヒューストン・アストロズを立て直しているという記事が特集されています。

人間の最大の悪、それは「鈍感」である(トルストイ)。

ほめられているうちは半人前と自覚せよ

素振りで大切なのは回数ではない、正しい素振りをしているかである。

その努力は正しい努力か

企業が取り組んでいる問題が、本当に正しい問題か

ハーバード大学のクリステンセン教授も指摘するように、全体を捨て去るのではなく、何は正しくて何はそうでないか、どのような時は正しくどのような時はそうでないかといったコンティンジェンシー的な考え方も重要です。

ミシガン大学の社会心理学の大家、カール・ウァイクがよく引用する、ハンガリー軍がアルプスで遭難したときの話

以前サムスンの取締役を調べたことがありましたが、全員男性、しかも7割くらいはSeoul National Universityの卒業生でした。

日本の経営者・幹部にも考えてほしい質問です。

  1. もしあなたの会社がなくなったら、だれが困るか?それはなぜか?
  2. 同じく、一番困る顧客はだれか?それはなぜか?
  3. どれくらいの時間であなたの会社の代わりとなる企業が現れるだろうか?

経営戦略で大切なのは、その精緻華麗さではなく、どれだけ共有できているかです。

「芸術とは、(見たり、読んだりする人に)『そうそう、それが言いたかったんだ』と思わせること」と言ったのはトルストイですが、・・・

家柄や育ちは侮れない

「家柄のいいボンボン」のほうが何事においても余裕がある、少なくともそのように見えることも確かではないでしょうか。

要は、家柄や育ちという「環境」がもたらす間接的な効用はバカにできないということです。

2016年6月26日 (日)

楠木健『「好き嫌い」と才能』東洋経済新報社

実は、僕の研究の土台はマルクス経済学だからね。(米倉)

スタンフォードでもハーバードでも、「米国のビジネススクールはすごい」とみんなは評価するけれど、本当にすごいのは、そこにある学問的蓄積や世界最高峰の資料ですよ。

加護野「先生は授業でいろんなことを言うけれど、それが正しいことをどうやって証明するのか」。バウアー「筋がいいと思う経営者に話してみて、相手が『I see』と言ったらそれが正しい」

「経営学の知識は、経営者が実践できるだけの説得力を持った知識であるべきであり、『わかった。これでいこう』と思わせる力を持っていなければならない。『よし、それでいこう』という気持ちを起こさせないといけない」

2016年5月11日 (水)

吉田和夫『ドイツ経営経済学』森山書店

企業は 危険負担者としての企業者から独立し、完成された有機体

決定はまさに管理である。

生産能力拡大効果については、いわゆる「ローマン・ルフチ効果」として、余りにも有名である。

ニックリッシュがベルリンを、シュマーレンバッハがケルンを、シュミットがフランクフルトをそれぞれ牙城にして、・・・

2015年5月 7日 (木)

加納良一編『企業経営の理論と実践』学文社

企業ドメインとは、現在から将来にわたって自社の事業が展開する領域を決めることであり、事業領域とも呼ばれる。この決定により、企業は市場で競争する土俵を決めることになり、また自社の経営資源を展開する範囲を決定することにもなる。

PPMの問題点

  1. 経営資源の蓄積などの質的な評価が困難なことである。PPMにより撤退すべき事業であっても、全社の他の事業の競争力の源泉となる技術やノウハウなどの経営資源を蓄積することに貢献している場合もある。・・・・・単独の事業としては負け犬でも、他の事業とのシナジー効果を期待できる場合もある。
  2. 会社全体としてのビジョンが不明確だという点である。PPMは、個々の事業についての今後の方向性を示すことができても、会社全体として将来どのような方向に向かい、どのような事業を展開する可能性があるのかを示すことはできない。
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