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政治

2021年1月14日 (木)

松元雅和『平和主義とは何か 政治哲学で考える戦争と平和』中公新書

平和主義とは、暴力ではなく非暴力によって問題解決をはかろうとする姿勢のことである。

思考は、そのままではいわば不透明でぼやけている。哲学はそれを明晰にし、限界をはっきりさせねばならない(ウィトゲンシュタイン)。

戦は経験のない者には甘美だが、体験した者はそれが迫ると心底から恐怖を覚える(ピンダロス)。

「平和的手段」とは、要するに非暴力手段のことである。言葉による問題解決は、いかなる場合であれ腕力による問題解決よりも優先されるべきである。

暴力に対して暴力で応答しないことが、平和主義の真髄である。

ラッセルは、反戦平和運動に生涯を費やしたが、トルストイのような無条件平和主義者ではなかった。なぜなら、戦争の原則的禁止の例外として、ナチス・ドイツとの戦いは必要かつ正当であると考えていたからである。ヒトラーを野放しにすることの巨悪は、非暴力の貫徹を許さないほど圧倒的に大きいものだった。

難事件は悪法をつくる。

暴漢といえども一人の人間であり、その人が悔い改めるかもしない機会を永遠に奪うことは、キリスト教徒にとって罪である。トルストイは、たとえ強盗が自分の子どもに危害を加えようとしているときでさえ、その強盗を殺害することは誤っていると示唆する。

アウグスティヌスは、トルストイと同様、キリスト教の非暴力の教えに従い、私的場面においては暴力手段に訴えることが決して許されないと考える。

ガンジーは、彼が指導したインド独立運動においてはアヒンサー(非暴力)を唱えながらも、私的暴力を必ずしも否定していないからである。

愛国者というのはいつでも、その祖国のために死ぬことを語る。そしてその国のために人殺しをするとは決して言わない(ラッセル)。

『大いなる幻影』を通じて、軍事力を用いて自国の安全や繁栄を実現することなど、実はまったくの「幻影」にすぎないことを訴えた。

西部戦線異状なし・・・・・悪いのはイギリス人かもしれない。だがイギリス人を撃ちたかない。初めて見たんだ。彼らも初めてドイツ人を見たろう。彼らだって戦いたくないんだ。

そもそも本国から遠く離れた南半球の諸島がイギリス領であること自体、植民地時代の遺産であり、・・・・・

戦争プロパガンダ10の法則

ニーバーは、もともとクエーカー系の団体に所属する平和主義者であったが、ヨーロッパでナチス・ドイツが台頭していくなかで立場を転向し、逆に徹底した平和主義批判の側に回った。

何かを選ぶということは、代わりに何かを諦めるということだ。

 

家永三郎『革命思想の先駆者―植木枝盛の人と思想―』岩波新書

植木枝盛くらい自分自身についてくわしい記録を書きのこした人間は珍しいであろう。

異性との交渉は必ずしも単なる私行にとどまらず、人倫の大義にかかわる社会倫理的意味をもつ行為である。その人を全人間的にとらえようとするときには、簡単に除外してしまうわけにはいかない。

人民は先なるものであり、国家は後なるものである。人民が集ってはじめて国ができるのであって、けっして政府によってできたものでもなく、君主によって立つものでもない。

人民は、つねに政治に関心をはらい、政府がその使命からはずれた行動に出ることがないように積極的な対策を講じなければならない。

抵抗権と革命権を公認することは、西洋にあってはきわめて古くからの伝統であって、・・・・・

第二次大戦が世界の民主主義的勢力の団結によるファシズムの敗北に終ったことは、抵抗権の思想をふたたびよみがえらせる好機を提供した。

親鸞の主著『教行信証』は、ほとんど大部分が先聖古哲の述作の引用文を編集しただけのものであり、福沢の主著『学問のすすめ』の重要部分が、ウエイランドの『モーラル・サイエンス』の翻案に過ぎないことは、すでに明らかにされている事実だからである。

 

2021年1月12日 (火)

渡邉恒雄『反ポピュリズム論』新潮新書

私が見る限り、日本の国会議員は小選挙区制度によって相当程度堕落してしまった。そもそも、現行の小選挙区には、例えば東京都の大田区や世田谷区のように、区議選の選挙区よりも小さいところがある。国会議員の選挙区が区議よりも小さいなんて馬鹿な話はない。

当時世界で最も民主主義的な憲法を持ち、言論の自由も保障されワイマール体制下で、ヒトラーが合法的に独裁体制を築いたことを思い起こせば、・・・・・

近衛には、開戦の火蓋を切った東条英機と並ぶ重い戦争責任がある。

ポピュリズムとは、1930年ごろのダビを代表とするフランスの民主主義的運動と書かれている。政治史上、ポピュリズムとは、1890年代の米国で農民、労組を主体として、既成二大政党に反対して第三党として結成された人民党の運動、または、中南米の農鉱業中心の寡占支配に対抗した都市労働者および中間層を糾合した改革政治のことだ。

社会学上、「大衆社会」という語が重要な概念になって来たのは、1930年代、つまりファシズムの興隆によってである。

2020年9月13日 (日)

吉田徹『「野党」論ー何のためにあるのか』ちくま新書

野党とは特定の政党ではなく、民主政治における機能と役割に還元されるものです。

野党とは「存在」というよりも「役割」です。

政治とは、ベストな状態を永遠に模索するプロセスの連鎖であり、・・・・・

大きな流れの中にこうして自民党を置いてみると、自民党がいかに変化をいとわない政党であるかが分かります。

55年体制が終焉するきっかけともなった1992年の佐川急便事件・・・

小選挙区制では結果として二つの政党が優位になります。

ピケティが暗に明らかにしたことは、20世紀後半という時代が、長い人類の歴史の中で、戦争という偶然によって、いかに例外的に平等な社会が実現されたのか、ということでした。

 

2019年12月 8日 (日)

苅部直『丸山眞男ーリベラリストの肖像』岩波新書

いわく西洋近代の愚直な賛美者、いわく大衆から遊離した啓蒙家、いわく国民国家の幻像にしがみつく隠れナショナリスト。右側からは冷戦時代に共産勢力に迎合した学者先生と叩かれ、左側からはラディカルにつき進もうとしない保守性を糾弾される。

宣長は、儒学、とりわけ朱子学の倫理を、理窟によって人の「真心」を束縛しようとする、中国風の「漢意」の所産と見なし、それは支配者が、高邁な理想を掲げ人々を手なずけるためにこしられたものにすぎないと批判した。

絶対の正義は存在しない。しかし人は執念を持つものだ、それによって動くのだ、それがどんなにイリュージョンであっても、イリュージョンの方が現実よりも強い。

「最も意地の悪い」しうちを加えてきたのは、陸軍兵志願者訓練所で徹底した「皇民化」教育をうけて入営した、朝鮮人の一等兵だったと丸山は回想している。

カイヤットの映画の医師のように、たとえ自分では良心をもって接していると思っていても、植民地支配をうけている「現地民」からすれば、しょせん、憎むべき支配者の一員にすぎない。

私はあなたのいうことに賛成派しないが、あなたがそれをいう権利は死んでも擁護しよう(ヴォルテール)。

真の政治理論は必ず性悪説をとる。

宗教信仰までもが、国家や政治党派、あるいは営利団体による操作の対象となっている時代が、丸山の言う「現代」にほかならない。

2019年3月 1日 (金)

白井聡『戦後政治を終わらせる 永続敗戦の、その先へ』NHK出版新書

サンフランシスコ講和条約は、日米安保条約と不可分のワンセットで結ばれたものだからです。

ソフトランディングとは、日本国民が自らの手で必要な改革を成し遂げ、社会と政治を変化させることです。

前線と最前線との違いです。つまり、冷戦下の日本は、アメリカによって、アジアにおける冷戦の自由主義陣営の前線基地として位置づけられましたが、しかし最前線ではなかった。

五十五年体制とは、いわば、勝者と敗者があらかじめ決まっていて、敗者の側にも一定の見せ場が用意されたプロレスのようなものだった。

自民党は「親米保守」の政党です。

小選挙区制には、少数意見が反映されない、死に票も多いという欠点があるため、・・・

レーガノミクスの面白いところは、国家が財政赤字に陥っているとき、普通なら増税を考えるところを、減税すべきだとしたところです。

護送船団方式、、、、、端的に言うと、国家による指導の側面が非常に強い資本主義です。

新自由主義の特徴としては、公営事業の民営化、資本移動の自由化、福祉の削減、こういったことが共通点として挙げられます。

身分が生まれながらにして決まっているものであるのに対し、階級は可変的で、原則的には階級間移動も可能です。

西部邁『保守の真髄 老酔狂で語る文明の紊乱』講談社現代新書

日露戦争の勝利によって「関税自主権」を獲得したことについて・・・・・

ナショナリズムを指してショーヴィニズム(排外主義)と難じることは許されない。

代議制あるいは議会制民主主義の本質はトレランス(忍耐と寛容)の精神にある。つまり、多数派にあってみずからの意見が間違っているかもしれないと構える忍耐力があり、したがって少数派の意見にも耳傾けるべき場合があるかもしれないとの寛容力を持ちつづける点にある。

二世・三世議員を世襲制だとして非難するのはかならずしも妥当ではない。代議士たるものは議会における妥協や決断についての経験を必要とするのであって、そうした力量は若いときから政治家の振る舞い方を身近に学ぶことを通じて鍛えられる。

社会の権力がひとたびマスの手に渡ったら、事実上、その社会を救済することは不可能である(オルテガ)。

独裁制は民衆の歓呼と投票から生れることが少なくない。

裁判を言語ゲームの形式とみなしてその言語活動が形式において優れているなら勝利者となる、というのが英国に伝来の形式主義だ。

「国民の総意」は、現在世代の国民の世論なんかではなく、歴史上の総世代の伝え残せし「伝統の精神」を意味する、と解釈すべきだという一点である。

世論ではなく輿論、それこそが投票の基礎であるべきだということである。なぜといって輿論とは国民の有する(というより死者たちの残した)常識のことなのだから。

慣習と伝統の違いである。慣習は単に過去からの制度的な遺制のことにすぎないが、伝統はそれとは違って過去から伝えられし(慣習の中心あたりに内蔵されているはずの)徳義の規準のことで、・・・・・

釈迦にも孔子にもソクラテスにも学校なんかなかった、・・・・・

2018年10月 4日 (木)

宇佐美典也『逃げられない世代 日本型「先送り」システムの限界』新潮新書

制度の安定というものが全てのビジネス・生活の根本となっていることを痛感しました。

「改革」というのは制度を急速に政府の都合で変えてしまう、国民の生活を破壊しかねない行動です。

政治家個人は「国家百年の計」を考えたくとも、目先の票の確保のためにはそれが許されないのが日本の衆議院という場です。

日本では政権・与党が「事前審査制」と呼ばれる野党にまったく政策立案に関与させないような仕組みを整備しているからです。

団塊の世代の人数が非常に多いのは当時中絶が法律で認められていなかったことが原因で、1949年に優生保護法(当時)が改正されて中絶が認められるようになると急速にベビーブームは収束していきます。

医療保険や介護保険は基本的には皆さんが毎月納める社会保険料がそのままその年度内に高齢者を中心とする制度利用者に給付される仕組みとなっています。

低金利になった理由は単純で、日銀が低金利で国債を大量購入したからです。

ホルムズ海峡とマラッカ海峡が封鎖されれば日本経済は1ヶ月で破綻します。

2018年8月 7日 (火)

松田馨『残念な政治かを選ばない技術 「選挙リテラシー」入門』光文社新書

政治家は伝えるのが下手なだけ、有権者は政策に詳しくないだけ。

市町村議会議員選挙は大選挙区制で行われます。

政令指定都市の市長は、この都道府県知事とほぼ同じ権力をもつ首長であることも覚えておいてください。

中選挙区制には、政権交代が起こりにくいという欠点がありました。

小選挙区制の欠点は、小政党が圧倒的に不利なことです。

参院選の比例代表選挙は、全国を一つの選挙区として扱います。「この地域の候補者」という考え方がありません。

投票率が低いことのデメリットは、なんといっても「組織票で当落が決まりやすくなる」ということです。

田中角栄氏は、選挙に勝つためには「戸別訪問3万軒、辻説法(演説)5万回」が必要だといっていたそうです。

政治や選挙はまだまだメンツの世界です。故・田中角栄氏は「世の中は、嫉妬とソロバン(損得)」とおっしゃったそうですが、・・・

2018年2月 5日 (月)

エマニュエル・トッド『「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告』文春新書

ロシアの力は基本的に防衛的なものだ。

ロシアは世界がバランスを保つことに役立つ強国なのさ。

EUはもともと、ソ連に対抗して生まれた。

フィンランドはというと、ソ連と共に生きることを学んだ国であり、・・・

ドイツはもともとはユーロの話など聞きたくもないというふうだったのです。

アングロサクソンの世界では個人の自由が人びとの体に染みついています。しかし大陸ヨーロッパには、政治的権威と官僚化の表れが存在します。

ナチズムが現れる前にドイツがヨーロッパにもたらしたもの、宗教改革と大衆の識字化が一番に挙げられるでしょうが、・・・

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